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『・・・人の思いは全て脳が作り出している。そして、当事者が見たと言うことを第三者が見えないと反論したところであまり意味を成さない。当人は見ていると信じているのだから・・・。しかし、もし本当だとするならば、何かが足りない、膨大なエネルギーにも似た何かが欠けている・・・、化学反応させるための触媒のような彼女を分裂させた何か・・・、そして、なぜ見合うと双方が死滅してしまうのか・・・、僕の想像力はこれ以上を考えることは出来ない・・・、君のおかげで僕は三文作家になれそうだよ』
 そして考えれば考えるほど、サイトウはある妄想に取り憑かれ始めていた。
『もしドッペルゲンガーが本当のことだとしたら僕はどうする気なんだ? どうするべきなんだ? もしそれが自分の身に起こったら? 僕の世界は一変する・・・、彼女を愛してしまった僕、過去の恋人たちのように彼女と…』
 病院の研究室でパソコンを見つめ続けていた彼は、空になっていたグラスにウィスキーを注ぎ一気に煽ると氷が溶けていることに気づき、冷蔵庫から氷を出しグラスへ転がし入れていると内線電話が鳴り響いた。彼のデスクにはたくさんの医学書や脳についての資料が置かれていたが、その中には安っぽいイラスト付きのオカルト本や、都市伝説を紹介した英語で書かれた文献の様な物も何冊か混じっていて、蛍光マーカーが引かれていたり、付箋が貼られていたりしていた。
『すいませんこんな時間に・・・』
 慌てて取ると神妙な声のミィナからで、挨拶もそこそこに彼女は話しはじめた。
『ユィナが今日一番の飛行機で帰って来るって連絡がありました。そちらへまっすぐ連れて行こうと思ってます・・・』
「良かった本当に良かった。えぇここで待ってますから、はい、娘さんには決して検査の真意を洩らしたりしません。はい、お待ちしてます。おやすみなさい」
 業務連絡のような電話はすぐに切られていたが、サイトウは興奮を隠せずこれでやっと血縁者との因果関係が調べられると、鍵のかかった引き出しを開け、二通あるユィナとユウキ宛ての手紙を手にしていた。手紙はすぐに書き上げていたが、心変わりの様なミィナに止められてしまい入れたままになっていた。
「僕が二人になれたら・・・、もし双方が普通に生きていけるとしたら・・・」
 そしてまた酒を煽るサイトウだった。

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