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深夜、妹は中でセッティングして待っていると言い含め、ヒロミを目的の部屋まで案内するアキラ、カオルはお酒やつまみを乗せたワゴンを押している。
「どこが会場なの? 映写室のステージならわざわざここ通らなくても」
ヒロミが先を歩くアキラに聞いていた。
「とても良い場所とだけ言っておきます」
「え? どこ? どこだろう」
検討もつかないという表情で、ヒロミとカオルが顔を見合わせていると、
「ここです」
急に何もない所で立ち止まり、その壁を示したアキラ。
「え? ここ? ここかぁー、やられた! 秘密の場所なのにバレバレか、どうしようもない子たちねぇ、でもまぁ確かにここが一番素敵ではある。うふふっ」
ブシュウ、ブシューと、二枚ある防音扉が空気を圧縮させるような音を響かせ閉じられると、すぐさま鍵をかけたアキラ。仄かな明かりの中、二人を椅子に座らせると、真正面に簡単な音楽用機材が置かれ、その後ろには天井から真紅の布が垂れ下がる、即席のテージが出来上がっていた。だが、そこには、肝心の楽器やマイクは見当たらなかった。
「娘ちゃんがんばって~、あぁなんか涙でてきそう」
まだ登場していない養女は、きっと垂れ幕の裏に居るのだろうと声援を贈るヒロミは、ハンカチを握りしめ、シャンパンの栓が勢い良く弾けると、細長いグラスに注がれ気泡が揺らいだ。来賓に先に渡されると、アキラはグラスを掲げ挨拶をはじめた。
「来てくれてありがとう。今夜は、お二人の為に心を込めて歌います」
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「娘ちゃんがんばって~、あぁなんか涙でてきそう」
まだ登場していない養女は、きっと垂れ幕の裏に居るのだろうと声援を贈るヒロミは、ハンカチを握りしめ、シャンパンの栓が勢い良く弾けると、細長いグラスに注がれ気泡が揺らいだ。来賓に先に渡されると、アキラはグラスを掲げ挨拶をはじめた。
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