妹と兄5
妹兄5
この部屋は、あたしが十五になったお祝いにおかーちゃんが、兄弟の部屋だったのを、兄を居間に追い出し貰えたお部屋。あたしは、いつまでも二人部屋で良かったのだけど。それに腹を立てたアキラは、
『俺の布団の上げ下げは永遠お前の仕事だ~! それが条件!』
と言い、あたしはハイハイと喜んで条件を飲んだ。でも、彼の世話をするのは大好きだったし、おにーちゃんはあたしをいつも守ってくれる大事な大事な人。
『うふっ』
そんなことをツラツラ思いベッドに潜る彼女は、ミーちゃんと呼ぶ母に、子供の頃から躾けられてしまったお祈りをはじめた。
『明日もよろちく~ きっといないだろうけど神様。オヤスミ』
ユィナは体を横に直すとすぐにスースーと寝息を立て、眠りに落ちていった。
深夜に目が覚めてしまっていた。
「んごほ ゲホッ」
喉がいがらっぽく咳き込んでいた。
「あっちゃーやばい風邪? えへん虫退散! 水! みじゅ~!」
明かりを付けない勝手知ったる家の間取り。真っ暗の中、台所を目指すと物音がしているのに気づき、そっと居間を覗いたユイナ。
『あっ!』
観音開きの押入。月明かりで足がにょっきり飛び出ているのが見えた。思わず口を塞ぎ、声にならない小さな悲鳴を上げていた。物音は、断続的な布地が擦れるような音と、ハァハァと微かに聞こえる息づかい。兄は忘れたふりをしていた。そこは今でも”秘密の場所”だったようだ。そして、見覚えのある何かをあそこへ押し当てていた。
『コ・コ・ト・コ・コ…』
薄明かりの中、始めて見る兄の行為に顔を紅くし、仕方なく台所の電気を付け人が居ることを知らせると、そのとたん。居間は静まり返った。
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『うふっ』
そんなことをツラツラ思いベッドに潜る彼女は、ミーちゃんと呼ぶ母に、子供の頃から躾けられてしまったお祈りをはじめた。
『明日もよろちく~ きっといないだろうけど神様。オヤスミ』
ユィナは体を横に直すとすぐにスースーと寝息を立て、眠りに落ちていった。
深夜に目が覚めてしまっていた。
「んごほ ゲホッ」
喉がいがらっぽく咳き込んでいた。
「あっちゃーやばい風邪? えへん虫退散! 水! みじゅ~!」
明かりを付けない勝手知ったる家の間取り。真っ暗の中、台所を目指すと物音がしているのに気づき、そっと居間を覗いたユイナ。
『あっ!』
観音開きの押入。月明かりで足がにょっきり飛び出ているのが見えた。思わず口を塞ぎ、声にならない小さな悲鳴を上げていた。物音は、断続的な布地が擦れるような音と、ハァハァと微かに聞こえる息づかい。兄は忘れたふりをしていた。そこは今でも”秘密の場所”だったようだ。そして、見覚えのある何かをあそこへ押し当てていた。
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