190
妹兄190
サイトウは、風に当たってたたずむミィナを見ていた。
「おはようございますオカムラさん」
「あっ、おはよう先生」
「やっと分かりました…」
「…そうですか」
「今、お話ししてもよろしいですか?」
「えぇ構いませんから続けてください…」
「はい…、ユタカさんは、マンションから転落した際に頭を強打し、脳挫傷によるショック死だったそうです、直接の目撃者は居なかったそうですが、直後に近隣の人が救急車を呼んでいたと言うことでした」
「救急治療を行った医師の話しだと、それ以外特に死に至るような症状は見当たらなかったそうです…」
「はい…」
「警察の調べでも事件性は無くて、突発的な体調の変化、眩暈や何かを起こして落ちてしまったのだろうと…」
「たった二階から落ちたんですね…」
『あの手すりは、よじ登りでもしない限り向こう側へ行けるはずは…、ユタカはあそこかを飛び越えて死んだ…』
ここも二階だった、ミィナは中庭に設置されている変電設備を見つめていた。
「…そうです」
「本当にそれ以外、不審な症状は無かったんですか? 不振な何かを見た人とか、私にあるような腫瘍とかは?!」
「脳外科のつてを使って調べてもらいましたが、それ以上のことは…」
「その時、そのときもう一人はどうしていたか分かりませんか?」
「すいません、そこまではさすがに…」
「この腫瘍は、私にしか無い物なのでしょうか?」
「何も特定できないんです、あなたの症状は説明したとおりの物で…」
「もう一人に会ってみないとですね?」
ミィナは彼の言いたい事が分かっていた。
「せめてお子さんたちに連絡出来ませんか…」
「…それは出来ません、息子と約束したんです、娘も私を捨てました…、彼への約束は絶対なんです」
「なんて親子なんだ、自分の命と引き換えにするとでも…、あなたは母親だ、母親以外の何者でもないのは分る、でも強い、強すぎるんです」
思わず本音をもらすサイトウだった。
「先生は独身ですよね? 子供のことなんかお分かりにならないでしょうね…」
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「救急治療を行った医師の話しだと、それ以外特に死に至るような症状は見当たらなかったそうです…」
「はい…」
「警察の調べでも事件性は無くて、突発的な体調の変化、眩暈や何かを起こして落ちてしまったのだろうと…」
「たった二階から落ちたんですね…」
『あの手すりは、よじ登りでもしない限り向こう側へ行けるはずは…、ユタカはあそこかを飛び越えて死んだ…』
ここも二階だった、ミィナは中庭に設置されている変電設備を見つめていた。
「…そうです」
「本当にそれ以外、不審な症状は無かったんですか? 不振な何かを見た人とか、私にあるような腫瘍とかは?!」
「脳外科のつてを使って調べてもらいましたが、それ以上のことは…」
「その時、そのときもう一人はどうしていたか分かりませんか?」
「すいません、そこまではさすがに…」
「この腫瘍は、私にしか無い物なのでしょうか?」
「何も特定できないんです、あなたの症状は説明したとおりの物で…」
「もう一人に会ってみないとですね?」
ミィナは彼の言いたい事が分かっていた。
「せめてお子さんたちに連絡出来ませんか…」
「…それは出来ません、息子と約束したんです、娘も私を捨てました…、彼への約束は絶対なんです」
「なんて親子なんだ、自分の命と引き換えにするとでも…、あなたは母親だ、母親以外の何者でもないのは分る、でも強い、強すぎるんです」
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