339 悪魔
339
『この娘をどう納得させれば… どうすれば大人しく東京へ帰らせることが出来るの、帰らせたところで意味はあるの?』
そんな事をしても意味がないと止めてくれたサイトウの顔を思い浮かべていた。
「本当のこと教えて。パパにも教えてなかったんだよね? パパが浮かばれないよぉ、あいつをそこまで毛嫌いする理由は前の人、ユィナの父親と何があったの?! あいつはやっぱり悪魔なんだよね?」
「チ、チヒロちゃんお願いだからお家へ行こう、この車が嫌ならタクシーを拾うから」
その時ユィナからのメールが入ってしまいミィナは、送信者の名を見られてはまずいと隠すようにそっとバッグに入れ直していた。
「携帯変えたんだね…、見なくていいの?」
「いいのよ後で…」
「番号も?」
「番号? あぁそうそう、そうだったわね言うから掛けてちょうだいね」
「うん。メアドも教えてね」
ミィナの携帯に掛けたチヒロは届いていた着信にもやっと目を通すと、あのGPSサイトへもアクセスしユィナに動きが無いことを確認していた。
「ねぇママ、タクシーでもいい?」
「いいのよあなたの気が済めばそれで」
その言葉にホッとしたミィナは車から降りると、
「わがままばかり言ってごめんね…」
と、言いながら寄り添うチヒロの髪を優しく撫でていた。
「途中スーパー寄ってあなたの好きな物なんでも作って上げるからね、それにずっと制服のままだと辛いだろうからパジャマとかお洋服も買おうね」
「うぅん何も要らないよ? 元気になったママと一緒に居られるだけで…、私少し眠い…」
フワァ~っとあくびしたチヒロに腕を組まれたミィナは、ユィナからのメールを気にしながらもタクシーを探していた。
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『この娘をどう納得させれば… どうすれば大人しく東京へ帰らせることが出来るの、帰らせたところで意味はあるの?』
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「本当のこと教えて。パパにも教えてなかったんだよね? パパが浮かばれないよぉ、あいつをそこまで毛嫌いする理由は前の人、ユィナの父親と何があったの?! あいつはやっぱり悪魔なんだよね?」
「チ、チヒロちゃんお願いだからお家へ行こう、この車が嫌ならタクシーを拾うから」
その時ユィナからのメールが入ってしまいミィナは、送信者の名を見られてはまずいと隠すようにそっとバッグに入れ直していた。
「携帯変えたんだね…、見なくていいの?」
「いいのよ後で…」
「番号も?」
「番号? あぁそうそう、そうだったわね言うから掛けてちょうだいね」
「うん。メアドも教えてね」
ミィナの携帯に掛けたチヒロは届いていた着信にもやっと目を通すと、あのGPSサイトへもアクセスしユィナに動きが無いことを確認していた。
「ねぇママ、タクシーでもいい?」
「いいのよあなたの気が済めばそれで」
その言葉にホッとしたミィナは車から降りると、
「わがままばかり言ってごめんね…」
と、言いながら寄り添うチヒロの髪を優しく撫でていた。
「途中スーパー寄ってあなたの好きな物なんでも作って上げるからね、それにずっと制服のままだと辛いだろうからパジャマとかお洋服も買おうね」
「うぅん何も要らないよ? 元気になったママと一緒に居られるだけで…、私少し眠い…」
フワァ~っとあくびしたチヒロに腕を組まれたミィナは、ユィナからのメールを気にしながらもタクシーを探していた。
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340 狂気
340
*
「ふぅ・・・」
自分と、自分に良く似た男性とが、一つの下半身から二つに分かれて生えているという、奇妙すぎる夢から目覚めたユィナは寝汗が酷くすぐにシャワーを浴びたかったが、着信のあったミィナに、
|ユィナ:教えてください、どうしても知りたいことがあります。どうしてあたしの兄弟・・・、お父ちゃんとの子を堕胎したの?
答えは返ってこないだろうと思いつつも、義父が狂気に走った原因はこれしかないのだろうと、ずっと心の中に棘のように刺さっていた疑問を送信し終えると、連絡の入っていたサイトウへ電話を入れていた。
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「すいません遅れました。誓約書のことでしょうか?」
『はい。それもあるんですが実はさっきミィナさんと良く似た症状の方が東京に居ることが分かってしまってですね、緊急のオペに出向くことになったんですよ。検査自体はスタッフにやらせますから・・・、とりあえず三日ほど入院してもらえませんか? 個室とまではいきませんが相部屋を用意しますし、その方があなたの体調を管理しやすいんです・・・』
終始慌てているように話すサイトウは最後に付け加えるように書類作成の為に印鑑が必要だったと言い、入院を了承するしかなかったユィナも慌ててフロントへ電話し、ハンコの売られてそうな店を聞くと表に出て行った。
*
自宅に着いたチヒロは眼帯を外し義眼の目になると、堰(せき)を切ったように話し始めていて、兄のバンドデビューは大成功するとか、兄とアキと言う恋人との婚約が決まったこと、二人に子供が出来たら命名して溺愛すると言い、母親が運転できるまで回復してることを満面の笑みで喜び、以前はたまに入っていたお風呂に一緒に入ろうと甘えられてしまい、この少女のどこに殺意があるのか考えられなくなってしまっていたが、どうしても彼女の口から真意を聞き出したかったミィナは甘えられるまま風呂へ入り、義眼を外したその顔、引きずるように歩く左足の手術痕、チヒロ自身にもどうしようもない滞りや憎しみがそこに潜んでいると気づかされていた。
本日の一言:お待たせいたしました。とりあえず再開。そして341話 恐怖につづく!
*
「ふぅ・・・」
自分と、自分に良く似た男性とが、一つの下半身から二つに分かれて生えているという、奇妙すぎる夢から目覚めたユィナは寝汗が酷くすぐにシャワーを浴びたかったが、着信のあったミィナに、
|ユィナ:教えてください、どうしても知りたいことがあります。どうしてあたしの兄弟・・・、お父ちゃんとの子を堕胎したの?
答えは返ってこないだろうと思いつつも、義父が狂気に走った原因はこれしかないのだろうと、ずっと心の中に棘のように刺さっていた疑問を送信し終えると、連絡の入っていたサイトウへ電話を入れていた。
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『はい。それもあるんですが実はさっきミィナさんと良く似た症状の方が東京に居ることが分かってしまってですね、緊急のオペに出向くことになったんですよ。検査自体はスタッフにやらせますから・・・、とりあえず三日ほど入院してもらえませんか? 個室とまではいきませんが相部屋を用意しますし、その方があなたの体調を管理しやすいんです・・・』
終始慌てているように話すサイトウは最後に付け加えるように書類作成の為に印鑑が必要だったと言い、入院を了承するしかなかったユィナも慌ててフロントへ電話し、ハンコの売られてそうな店を聞くと表に出て行った。
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自宅に着いたチヒロは眼帯を外し義眼の目になると、堰(せき)を切ったように話し始めていて、兄のバンドデビューは大成功するとか、兄とアキと言う恋人との婚約が決まったこと、二人に子供が出来たら命名して溺愛すると言い、母親が運転できるまで回復してることを満面の笑みで喜び、以前はたまに入っていたお風呂に一緒に入ろうと甘えられてしまい、この少女のどこに殺意があるのか考えられなくなってしまっていたが、どうしても彼女の口から真意を聞き出したかったミィナは甘えられるまま風呂へ入り、義眼を外したその顔、引きずるように歩く左足の手術痕、チヒロ自身にもどうしようもない滞りや憎しみがそこに潜んでいると気づかされていた。
本日の一言:お待たせいたしました。とりあえず再開。そして341話 恐怖につづく!
341 恐怖
341
「私もママみたいな素敵な女の人になれるかなぁ…」
「え、なんて言ったの?」
「ねぇパパはママのどこが好きでプロポーズされたの、男の人って大きいのが好きなんだよね?」
「おっぱいだけで結婚する人は居ないわよ?」
「私も早く女の人になりたい…」
髪を洗ってくれているチヒロは、母親の胸をつつき自分の小ぶりな胸と比べ泡を洗い流すと、
「何も焦る必要なんか無いの、あなたにも必ずその日が来るんだから」
今度はミィナが彼女の髪を洗い始めていた。
「…ねぇチヒロちゃん」
「なーに?」
「…あいつをどうする気なんだろう?」
「ん~、何もしないよ? ママが心配するようなことは何も無いから安心してね」
「つい気になって…」
「あ、そうそうアキさん明日こっちへ来るから迎えに行こうね、そしたらお兄ちゃま抜きでお祝いしてあげなきゃね~」
「アキさんがこっちへ、ユウキさんは来ないのね?」
「うん♪ だってお兄ちゃまは私に内緒でこっちに来てたんでしょ? そんなずるい奴呼んであげない!」
「そうなのね…」
チヒロの突発的な行動だと思っていたことが、アキと言う娘がこちらへ来ることで計画的な犯行だと確信してしまったミィナは怯え、
『この娘を帰らせてはいけない…、口を濁したけど、もう一人誰か絡んでる…、男?!』
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「私もママみたいな素敵な女の人になれるかなぁ…」
「え、なんて言ったの?」
「ねぇパパはママのどこが好きでプロポーズされたの、男の人って大きいのが好きなんだよね?」
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「私も早く女の人になりたい…」
髪を洗ってくれているチヒロは、母親の胸をつつき自分の小ぶりな胸と比べ泡を洗い流すと、
「何も焦る必要なんか無いの、あなたにも必ずその日が来るんだから」
今度はミィナが彼女の髪を洗い始めていた。
「…ねぇチヒロちゃん」
「なーに?」
「…あいつをどうする気なんだろう?」
「ん~、何もしないよ? ママが心配するようなことは何も無いから安心してね」
「つい気になって…」
「あ、そうそうアキさん明日こっちへ来るから迎えに行こうね、そしたらお兄ちゃま抜きでお祝いしてあげなきゃね~」
「アキさんがこっちへ、ユウキさんは来ないのね?」
「うん♪ だってお兄ちゃまは私に内緒でこっちに来てたんでしょ? そんなずるい奴呼んであげない!」
「そうなのね…」
チヒロの突発的な行動だと思っていたことが、アキと言う娘がこちらへ来ることで計画的な犯行だと確信してしまったミィナは怯え、
『この娘を帰らせてはいけない…、口を濁したけど、もう一人誰か絡んでる…、男?!』
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