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「くふふっ」
 がんじがらめに縛られていた。閉じれぬように開かされた股、胸もあらわに露出され、彼は最後に”ビデ”の位置を調整するため自動洗浄のスイッチを入れ、威勢良く飛び出る水がきちんとそこに当たるか確認していく。つい今しがた果てたばかりの敏感な体に障る水圧、痺れたあそこに再び電気のような快感が駆け巡り、再び口に押し込まれたショーツは、吐き出さぬよう上から猿ぐつわを噛ませられ、腰が動くたび身をよじり、荒い息が鼻から漏れ、もがもがと動く口、感じるまま、きつく目を閉じるしかないメス犬。
「絶対に果ててはいけない、いいね? 俺は風呂浴びたらギターの練習でもしてる。いいか? 絶対果てるな、もし果てたら正直に言うんだぞ? もしも、我慢できたら女子会を許可してやる、まぁ、無理だろうけどなぁ」
 彼は硬いままのユィナの乳房の先、両方を爪先でえぐった。
『痛い!』
 激痛から逃げようと体が跳ねる。だが、後を追うように襲い来る痛みの余韻、偏執的な喜びに麻痺してしまっている脳髄。全身がすでに性器になってしまったようなユィナ。
『感じる、感じ過ぎるの、もうずっとどうにかなりそう、あなたのことを思うだけで、課題に追われてるのに座るクッションにまで染みを広げ、何をしていても悶え、想いながら溶けていきそう…、あたしはどうなっても構わない、あなたの許しを得るまでは…、どんな命令でも我慢します。でも、でも、でも、欲しい、欲しいヨォ、逝きたいヨォ、あぁあああん』
 狂おしく夢想する娘。誰かがこの個室に気づき、ドアを開けられることへの恐怖は無かった。ユィナの想いはただ、アキラに向いている。
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218

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 数日前、忘れかけていた知り合いとも言えないような子から連絡があり驚いていたユィナ、あの時と同じままの元気を貰えたように思えていた。だが、彼女の突拍子も無い申し出は、ユィナを困らせていた。
『お詫びがしたいの、いろいろあって、こんなに遅くなってしまって本当にごめんなさいです。だからお願い、来て~、ねぇ来てくれるよね? 高級ホテルで豪華ディナー、お泊り朝食付き~、いいでしょ? めったに取れないホテルやっと予約入れたんだよ! 来てくれなかたらここで泣く、大声で泣いちゃう、うんって言うまで、電話切らせないんだからぁ~』
 あの時の妹君、チヒロだった。屈託の無い彼女の雰囲気を思い出し、作り笑顔ばかりだったユィナに、
「あなたってほんとうに元気、あたしも、あなたみたいな妹が欲しかったな、うふふふ」
 パッと花が咲くような笑顔にしてくれたが、アキラの許可を得ぬまま、
「うん、行くよ。そこまで言われて行かないのも悪いし、でも、本当にお詫びなんていらないんだよ? 実は、あたしも会いたいなーって想ってたの。あはっ」
 と、答えてしまっていた。
『あぁあ、いけない。こんなこと簡単に了解できない!』
 取り繕おうとしたが、慌ててしまい思ってもいない事を口走っていた。
「あぁあああ、あのね、お兄ちゃんね」
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『ん? あぁ、張本人のバカ兄貴のこと? あいつがセッティングしろしろって横でせっついてるの、会えたときは奴隷にしていいわ。ついでに私も便乗するし、あははははは』
「違うのちがうの、あなたのお兄さんとは会いたくないの。あたしもね、今、兄と暮らしてるんだけど、とても厳格で、あたしが男の人と会うの嫌うの、自分をまるで父親代わりだと思ってるみたいで」
『ぇえええ~、でもそれじゃなーんにもお詫びにならないよぉー、
 困ったな兄貴、ユィナちゃん変態とは会いたくないんだって』
 チヒロは横にいる誰かに、話しかけているようだったが、ユィナが思いも寄らないことを口走ってしまったのは、何事も無く幸せに生きているチヒロにほだされ、そうあって欲しいと願う彼女の願望が募り、幸せな妄想に心を奪われてしまっていたからだった。
『な、なに言ってるあたし! 断らなきゃ、断らないと』
「もしもーし、チヒロちゃんだったよね? もしもーし、あれ? 居なくなった? おーぃ」
 話を切り出そうとすると、チヒロは電話口から消えたように、返事が無くなってしまった。

「思ってもみない返事で好都合じゃない、うふふふふ」
「うんうん、兄貴はどうせドタキャンすることになってたけど、一安心だぉ」
 送話口を押さえヒソヒソ声で話す隣に居るアキに、チヒロはキスしながら答えていた。
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