ふたり4
*
頭が痛かった。
きっと疲れてるせいだと、
自宅マンションのドアを開けた。
彼がいつものよーに。
仕事部屋からいそいそと出て来て
私の前にたちはだかる。
「おかえりミィナ」
「うん。ただいま… ちょっと頭痛いかも…」
「だいじょうぶか? 熱は?」
彼は私のおでこに手を当て、
自分のと比べた。
「大丈夫よ。熱っぽくはないでしょ?」
「うん。平熱だね。じゃ、いいよね?」
彼は微笑み、
私がこの扉を開け、帰ってくるたび繰り返される儀式に
取り掛かろうとした…が、
『はいそこまでー 止まってー』
っと、手の平で押し返すようなそぶりで、
1メートル先に彼を留めた。
靴を脱ぎ、
きちんと揃えて置き直す。
玄関口で、
スカートをまくり…
ストッキングを脱いでいく…
彼は私が倒れないよう、支えようとそばへ来ようとしたが、
つまみ食いはダーメッと手を叩いた。
「いたぃ!」
彼は大げさに飛び跳ね、
私は素知らぬ顔で
もぞもぞとショーツに手をかけた。
左足から脱ぎ、
右足をちょこんっと上げ、
スルリと引き抜いた。
そして、それを彼の顔にちらつかせ、
「まだあーげない♪」
と、言った。
▼応援してもらえると、書く気力が沸いてきます。
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頭が痛かった。
きっと疲れてるせいだと、
自宅マンションのドアを開けた。
彼がいつものよーに。
仕事部屋からいそいそと出て来て
私の前にたちはだかる。
「おかえりミィナ」
「うん。ただいま… ちょっと頭痛いかも…」
「だいじょうぶか? 熱は?」
彼は私のおでこに手を当て、
自分のと比べた。
「大丈夫よ。熱っぽくはないでしょ?」
「うん。平熱だね。じゃ、いいよね?」
彼は微笑み、
私がこの扉を開け、帰ってくるたび繰り返される儀式に
取り掛かろうとした…が、
『はいそこまでー 止まってー』
っと、手の平で押し返すようなそぶりで、
1メートル先に彼を留めた。
靴を脱ぎ、
きちんと揃えて置き直す。
玄関口で、
スカートをまくり…
ストッキングを脱いでいく…
彼は私が倒れないよう、支えようとそばへ来ようとしたが、
つまみ食いはダーメッと手を叩いた。
「いたぃ!」
彼は大げさに飛び跳ね、
私は素知らぬ顔で
もぞもぞとショーツに手をかけた。
左足から脱ぎ、
右足をちょこんっと上げ、
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