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ふたり59


『さよならだね私…』

『さよなら…』

 ミィナはを覚ました…。
随分寝ていたのかと焦って周りを見ると、いつの間にかどこかのマンションに居ることに気づいた。
「おはよう。起きたね… あんまり起きないんで心配しちゃったじゃない。なんだか、かなりうなされてたわよ。だいじょぶ?」
「ここは…」
「あたしの家よ。あんなとこにずっと寝せておけないし、最後まで面倒見ようと思って。連れて来てごめん…」
「いえ。ありがとうございます。すいません」
 ミィナはこの人をとても良い人だと思っていた。
「恐縮しなくていいわ。私物にも何一つ手を着けてないからね。金庫の中入れて鍵しちゃった。アッハッハッハ」
「あ。はぃ…」
「アイスコーヒー。入れたて。飲もうと思ってたけど、あげる」
 ヒロミはグラスを渡すと別の部屋へ走って行いった。
ストローで氷を混ぜるミィナは、プレイのことを思い出していた…。
実はミィナが失神し、が覚めたあとも行為は続き、それはミィナ本人の意思で、何時間にも及ぶ行為が続いていたのだ…。そして、彼同士のも覚えてしまい…、
『店が休みで良かったよ。あはん♪』
 と、笑うマスターの声を、ぼんやりと思い出した…。
「あはっ」
 ミィナが笑うと、
「これ、ここね」
 ヒロミがミィナの私物をわきに置くと、思い出し笑いをしたミィナの隣に座り、
「何よ? なに~」
 と、聞いてきた。
「昨日のことが夢見たいに思えて。おかしくて」
「失礼ねー。夢なんかじゃないわ。私も、みんなも、久々に夢心地だったけどぉ~。なんだったら現実を続ける?」
「ぁ…」
 ヒロミの大きなで見つめられ、ミィナははっとしを潤ませた…。
「あらぁ? んふふふ。ダメ! そんなうるうるで見ないでぇ。今日は、お仕事モードなのだからぁ~ 境界線は引かないとダメよ?」
 そう、たしなめられたが、ミィナは自分からヒロミを抱き。ディープキスをした。
「ふっきれたみたいね?」
 ヒロミもそれに応え、ミィナを抱きしめた。
「…はぃ」
 舌を絡ませながら、ミィナがヒロミにたずねた。
「ヒロミさんの愛する彼が、ふたりに分裂したらどうします?」
「なになに? えええ? ブンレツ? 一人が、ふたりになっちゃうってこと?」
「うん」
 唇を交わしながら、会話するふたり。
「うぅーんむ… 一本が二本になって大満足♪ で、どっちかが死んでも、どっちかは残るし? どっちかが浮気しても、どっちかが… 両方浮気されたら。両方のチンチン切っちゃう! あーでも、それだと、淫乱性の私が、浮気するかな? あははははは」
「あはっ」
 ミィナは底抜けに明るいヒロミに癒されて笑い唇を離した。そして、もう一つ質問しようとした。
『もし、自分がそうなったら?』
 でも、この質問は聞いても同じだろうと、心に留めた。
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