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ふたり42


「何か飲む?」
 ミィナがうなずくと、背の高い女は自販機から、水を買ってきてくれた…。
「私、変な人じゃないわ。強面に見られるけど。うふ。こーいうことが、好きで好きでたまらない。アブノーマルラヴァーの、おば… おねーさんよ。ほんとの名前はヒロミ。あなた初めてでしょ? ここで帰るのが懸命かもしれないよ… 残念だけど。うふふ」
 飲んだ水は体に染みわたり。やっと私は口を開いた。
「彼が二人いて、おかしくなってしまったんです…。たまらなく好きになった二人の彼に…」
「そ、そうなの。あなたもやるわねぇ。二本のあれを咥えこんでいた訳ね。玩具にされちゃったのかしら?」
「そんな感じ…」
「愛って言葉は便利なのよね。一回言ってしまえば、なんぼでも言える。嘘ならたくさん。ほんとなら、もっと。でも、気を許してしまえば、信じてしまうしかない魔法の言葉…。愛を盾に、どっちかの彼に命令されて来んでしょー? そうでしょー。やらしいわぁ」
 女はミィナを、舐め回すように見ていた…。
「…」
 水のボトルを見つめたまま、影を落とすミィナ…。
「…別れた。捨てられた。死に別れ。人生色々。これ以上聞かない…。 じゃあ。またどこかで逢いましょう。これでも、忙しいの。うふふ」
「ホテル…」
「ん?」
「行きませんか?」
 私は彼女を見て言った。
「んふっ。入り口で消えてもいいわ。慣れてるから。あなたにお似合いの所がある。それ飲み干してね。全部…」
「…」
 残っている水を無理に飲み干してる間。彼女は携帯で誰かに連絡を入れていた。
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