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ふたり31


「無くなった物はこれだけですか?」
 警官が、盗難届けの帳簿に書き記したた品々を確認してくださいと、ボールペンで指し示していった。
「はぃ。今のところ、それだけだと思います。まだ、動揺してて、もしかしたら他にもあるかもです…」
 ミィナが必死の思いで答えていると、彼女に寄り添うあまりによく似た”双子の兄弟”は、他の警官たちにチラチラ盗み見されていた…。
「そうですか、何か思い出したらすぐに届け出てください。あとですね、捜査の一環として、最後にあなたたちの指紋も採らせてもらいますから」
 事務的に手続きを進ませる警官に、
「私たちのもですか?!」
 ミィナは少しムッとして言ったが、
「犯人をあぶり出すためだよ」
「俺らのも採られるから、もしかしたら… 何かわかるかもしれない…」
 ユタカたちに言われて納得したけど、指紋を採られるのって、決して気分の良いものではなかった…。

 淡々とした現場検証は素早く終わり、警官たちはゾロゾロと帰って行った。
「最初、あなたたちが何か企んでて、悪戯かと思っちゃったの。そしたら、二人とも居ないし、びっくりして怖くなって。あぁぁあああん」
「泣くな。泣かないで。こっちも、心配で飛んで帰って来たんだよ。真っ青だった…。物が取られただけで良かった」
「ほんとに良かった。久々のデートを計画したら、これだもの… やっぱり呪われてるのか…」
「そんなこと言わないで! 私を置いて行かないで。さみしいよ。さみしぃ」
 リビングのテーブルに、一人だけ腰掛けてる彼女が立っているユタカに抱きつくと、もう一人はミィナを背中から抱きしめた。
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